屋号に込めた想いを、次の世代へ
ひとりから、チームへ引き継ぐ承継のかたち
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1985年、湖南市で創業した株式会社徳志満。創業者である徳島明和会長とりつ子社長が、「永く愛される企業でありたい」「質の高いお肉をお届けしてお客様に喜んでいただきたい」という想いで続けてきました。事業だけでなく、屋号に込めた想いも次世代に引き継ぐため、滋賀県事業承継・引継ぎ支援センターの支援を受けながらじっくり時間をかけて承継に取り組むことになりました。

Interview
代表取締役社長なぜ、早くから承継に取り組まれたのですか?
いつかは娘に託す時が来ると思っていたのですが、彼女一人では不安なことがありました。経営力・営業力の強化のみならず、承継後も私と会長の創業時からの想いにブレることのないよう、時間をかけて、安心して事業を引き継げる環境を整えたいという想いを、湖南市商工会の原塚さんにお伝えしたことで、事業承継・引継ぎ支援センターを紹介していただき、早期の準備に着手できました。
センターの支援を受けて良かったことはどんなことですか?
親子というのは、なかなか本心を伝え合うことが難しいと思います。センターの担当者に入っていただいたことで、冷静に互いの話を聞くことができるようになり、それぞれ自分の想いを整理して、正確に伝え合うことができたと思います。そして、彼女に足りないところを3人の次期経営幹部にサポートしてもらうという体制を整えられたことが良かったと思います。
次世代に託したい最も大切な想いはどんなことでしょうか?
会長も私も、長くお客様に愛され、息の長い商売をしていきたいと考えています。その考えのもとで選んだ「徳志満」という屋号に込めた意味を、しっかり受け継いでほしい。それが私たちの一番の願いです。
そのためにはどんなことが必要になると思われますか?
ただ利益を追求するのではなく、お客様に喜んでいただき、従業員にもここで働けて良かったと思ってもらって利益を出す、それが徳志満の目指す商いです。会長は「食べたらわかる肉を売りたい」というコンセプトで、良い肉を選んで良い商品にすることに専念してきました。私は誇りを持って商品をお客様に勧めてきましたし、肉を決して粗末にせず、端肉までちゃんと使い切ることを心がけてきました。そういった経験や技術を社員に伝えていくことが大切だと思っています。
さらに、先を読んでいろいろ考えていくことも経営者の大切な仕事です。お客様に選ばれる店、遠くから来ていただける店にするため、どんなブランド展開をしていくか、現在、経営幹部が課題として取り組んでいるところです。

Interview
後継者ひとりじゃない承継へ
4人でつくる機嫌のいい会社
ご両親の反対を押し切って、アパレル会社で勤務した後、28歳で家業に戻った加奈さん。いつか自分が継がなければならないけれど、一人でやっていけるのか不安や葛藤があったと言います。センターの支援で承継に向けての取り組みを進める中で、楽しく仕事をしたアパレル企業のような会社にしたいという希望が生まれ、心からここで頑張りたいと思えるようになったと語ります。
承継を決意されたきっかけは何だったのですか?
決意を確かなものにしたのは、可愛がってくれた祖父が亡くなる時に「この店を頼む」と言われたこと。そしてもう一つは今、一緒に仕事をしている娘が結婚する時に「お母さん、お兄ちゃんと私とでお店を守っていきたい」と手紙に書いてくれたことでした。
幹部4人体制の強みはどんなところにありますか?
私一人でできるのかという不安や葛藤がありましたが、4人の経営幹部体制で承継することが決まり、「これならやっていける」と心が軽くなりました。4人体制の強みはすぐに顔を合わせて何でも相談できることで、それぞれの経験や得意分野を活かして協力すれば、さまざまな課題に立ち向かっていけると思います。
売上を見るようになって売上が落ち込む月があることを知り、少しでも数字を上げるために4人で考えて、工場直販を社長に提案し、実施することになりました。毎回大勢のお客様に来ていただき、自分たちのアイディアで結果を出せて嬉しく思っています。
これから徳志満をどんな会社にしていきたいですか?
大きなお店にならなくてもいいので、社員みんながここで働けて良かったと誇りに思えるような、楽しく機嫌のいい会社、以前勤務したアパレル企業のような雰囲気のいい会社にしていきたいと思っています。
会長は下積み時代、気難しい師匠のもとで苦労しましたが、この会社では決して機嫌の悪いところを見せたことがありません。みんなに気持ちよく働いてもらえるよう、私自身もプライベートを大切にして機嫌よく働くことを心がけています。
今後の経営で大切にしていきたいことはどんなことですか?
今の徳志満の経営理念とビジョンは変わりませんが、私たちなりのビジョンとして、「徳」は従業員同士の協力、「志」は従業員の成長、「満」は従業員同士のノウハウの共有という、屋号の漢字にかけた行動指針を作りました。
滋賀にはたくさん精肉店がありますが、どこでも買えるものではなくて、徳志満でしか買えないお肉や、加工品を目当てに、わざわざ来てもらえるようなお店にしたいです。
そして、2034年の創業50周年に向けて、機械の増設や店舗の動線の改良、さらに新店舗の建設など、徳志満タウンの実現を目指していきたいと思います。

Interview
次期経営幹部加奈さんを支える次期経営幹部
徳島りつ子社長から加奈さんへの承継にあたり、彼女をサポートする次期経営幹部として植西秀雄さん、酒井秀和さん、望月弘志さんの3人が選ばれました。それぞれの経験や強みを活かして協力し合う4人体制で、事業承継に取り組んでいます。
次期幹部としてそれぞれ自分の強みを活かして貢献できることは?
酒井:調理師の経験を活かした商品開発や、肉の新しい使い方の提案をしたり、営業に関してもこれまでの経験を活かしていきたいと思っています。
植西:仕入れに力を入れて、良い肉をしっかり目利きして仕入れることで役立ちたい、社員が自信を持って販売できるようにしたいと思っています。また、さばきの技術をもっと磨いて、会長の技と知識を全て自分のものにして、さらに新しい使い方を考えていきたいと思います。
望月:今後、もっと販路を増やせるように加工品の製造法を工夫したり、新商品を考えたり、みんなで意見を出しながら、取り組んでいけたらと思っています。
承継に関してはどのように取り組んでおられますか?
酒井:会長と社長が二人で築いてこられたことを引き継ぐために、それぞれの強みを活かして協力してやっていけたらと思っています。承継に向けての取り組みが進む中で、一人一人今後どうしていかなければならないかを意識できるようになってきていると思います。
50周年の節目に向けて考えておられることは?
酒井:りつ子社長の夢をどう自分たちで具体化していくか、新たに策定した行動指針を基本中の基本としてやっていきたいと思います。売り上げの軸となる精肉、レストラン、生協と並ぶ大きな柱を打ち立てたいと思っています。
植西:行動指針に則ってみんなで意見を出し合いながら、りつ子社長が思い描いているものを形にしていけたらと思います。
望月:5年前と比べると社員が増えているので、意思疎通を図りながら良いチームワークでさまざまな課題に取り組んでいけたらと思っています。

STAFF INTERVIEW
加奈さんの長女小さい時から店の手伝いをしてきて、高校では食物調理科で調理師の免許を取りました。今はオードブルを作る仕事がメインで、お客様に喜んでいただけるのが嬉しいです。この会社の一番好きなところは、みんなの雰囲気がいいところ、毎日仕事に来るのが楽しみです。
母が今やっているようにお客様に合った商品を勧めたり、調理方法をアドバイスしたりして、喜んでいただけるような仕事をこれからしたいと思っています。



支援員からのメッセージ

普段の訪問の中で「ゆくゆくは加奈さんへ事業を承継したい」というりつ子社長のお気持ちをうかがっていたので、どこかでそのサポートは必要だと思っていました。承継は5年10年とかかるものなので、早いうちに事業承継・引継ぎ支援センターの指導を受けて事業承継計画を作ってみませんかとご案内しました。
専門家のサポートをうけながら承継計画を立てる過程で、次期経営幹部の酒井さん、植西さん、望月さんとともに加奈さんが事業承継にじっくり向き合われたことが良かったと思います。幹部のみなさんの意識が変わり、組織全体として事業承継に向き合う体制が整っていったと感じました。
(湖南市商工会 参事 原塚 美奈子氏)
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